「戦争は数だよ」
(ドズル・ザビ「機動戦士ガンダム」より)
現在のAKB系の躍進をこれほど如実に表している言葉ないと思います。「大人数ユニットの優位さ」は秋元氏はすでにおニャン子クラブで確信していたと思いますが、今のAKB系に関してはその方向性を更に強化。いわば現在のAKB系はジムとボールが100体以上で構成される部隊。無論、中には篠田麻里子さんや小島陽菜さんのようにガンダムクラスのレベルのスペックの持ち主も数人いますが。
それに対して、他のアイドル系ユニットはゲルググやドムが5〜10体くらいで構成される部隊。個々の能力は高くても、これだけ戦力の差があれば太刀打ちできない。無論、黒い三連星のように連携によって攻撃力(パフォーマンス能力)をあげることはできるけど、それにも限度がある。
「私が死んでも代わりはいるもの」
(綾波レイ「新世紀エヴァンゲリオン」より)
さらに「大人数の優位」による現象は、いわゆる「推し変」がAKB系内で動くケースが多いということ。初期のAKBファンはモーニング娘。(ハロプロ)から「推し変」となった人が多いと思いますが、現在のAKB系ファンは他のユニット(のメンバー)に「推し変」するより、AKB系のユニット(のメンバー)に「推し変」するケースが多い印象があります。更に、AKB系に飽きかけたファンに対しては乃木坂46という、ちょっとポジションをずらしたユニットまで用意するという周到さ。
「強いやつが勝んじゃない、勝ったやつが強いんだ!」
(カール・ハインツ・シュナイダー「キャプテン翼」より)
AKB流に言えば「いいものが売れるんじゃない、売れるものがいいものだ!」となるでしょうか。’90年代前半の「アイドル(歌手)冬の時代」を知っている私としては、アイドルユニットのシングルがミリオン連発、更にはダブルミリオンを実現しようとするのは夢のようです。しかし、その一方でAKB系に対する世間のリアクション、はっきり言って「悪評」の多さを思うと複雑な思いです。
いつも書いているように、資本主義社会において「売る」ことを目的とすることは否定できません。実際「売れなかった」ために消えていったアイドルを今まで数えきれないほど見てきました。しかし、AKB系に関してはやはりあまりにも「売る」ことが前面に出すぎて(見えすぎて)いる。今までの音楽業界は「CDを売って儲ける」だったのが、AKB系に関しては「儲けるためにCDを売っている」印象があります。
昨年あたりまではAKB系の躍進に対して、「いつかはこの反動でアイドル(歌手)冬の時代が再来する」と不安だったのですが、最近は逆の不安にとらわれてます。すなわち、ジャニーズ同様「AKB系の時代が永遠に続く」んじゃないかという不安。今のAKB系はまさに「ダイヤモンド」、メンバーの多少の不祥事があってもそれに傷つく気配は無い。
今の若い女の子が「男性アイドルはジャニーズ系のみ」という状況を疑問も持たず当たり前のように受け入れているように、数年後の若い男の子たちは「女性アイドルはAKB系のみ」という状況を疑問も持たずに当たり前のように受け入れるようになっているのでしょうか?しかし、そんな時代にはやはりこの一言を。
「だが断る」
(岸辺露伴「ジョジョの奇妙な冒険」より)